

朝、目覚ましより少し早く目が覚めた。
カーテン越しに差し込む光が優しくて、布団の中で少しだけ伸びをする。
今日は燃えるゴミの日。
二度寝する前に、ゴミだけ出しておこう。
そんな気楽な気持ちで、私はTシャツ一枚に短めの部屋着パンツという格好で玄関を出た。
──そのとき、自分がブラをつけていないことに、気づかなかった。
階段を降りて、ゴミステーションへ向かう。
朝の空気が少し冷たくて、Tシャツ越しに胸がピンと反応してしまうのを感じた。
でも、まだ誰も起きてない時間だし……。
ほんの数分で終わるから。
そう思って気にせず、歩き続けた。
ゴミ袋をステーションに置いて、ふと顔を上げると、そこに彼がいた。
同じアパートの2階に住む、大学生くらいの男の子。
何度かすれ違ったことはあるけれど、ほとんど話したことはない。
でも、今朝は目が合った瞬間、空気が変わったのがわかった。
彼の視線が、私の胸に真っ直ぐ向いていた。
一瞬で背筋に電流が走ったような感覚。
「……おはようございます」
そう声をかけてきた彼の目は、どこか興奮を抑えきれていないように見えた。
私も思わず「おはよう」と返したけれど、声が少し上ずっていたのが自分でもわかった。
Tシャツの生地が、さっきの冷たい風で薄くなった胸元にピタッと張り付いている。
しかも、ノーブラ。
肌の起伏や、固くなった先端の形さえ──透けてるかもしれない。
彼の視線がそこに釘付けになってるのが、はっきりとわかった。
逃げるようにその場を離れようとしたのに、足が動かない。
「見られてる」
その事実だけで、胸の奥がじわっと熱くなっていく。
視線を感じたまま、ほんの数秒。
でもその時間が永遠のように長く感じられて、私は自分の身体が勝手に反応していくのを止められなかった。
──なにこれ。なんで、感じてるの?
こんな無防備な格好を見られて、恥ずかしいはずなのに。
むしろ、胸の奥が疼くような感覚が止まらない。
彼は、無言で微笑んだ。
そして軽く会釈をして、ゴミ袋を持ってステーションに向かってきた。
私とすれ違うとき、ほんの一瞬、彼の腕と私の腕がかすかに触れた。
その瞬間、身体の奥にビリッとした熱が走った。
──だめ、こんなの。
急いでその場を離れ、アパートの階段を駆け上がる。
でも、心臓の鼓動はおさまらなかった。
部屋に戻ってドアを閉め、壁にもたれた瞬間、膝がふるふると震え出した。
鏡に映った自分を見ると、Tシャツの上からでもわかるほど胸の先が自己主張していた。
もう、言い訳できない。
彼に見られて興奮してたのは、私のほうだ。
「見られるだけで、こんなに感じるなんて……」
頭では分かってる。
だらしない、無防備だったのは私。
でも、それでもあの視線が、身体の深いところを刺激していたのは事実だった。
胸元に手を当てて、ゆっくりと息を吐く。
でも、収まらない。
このまま一人でやり過ごせる気がしない。
指先が、自然に胸へと滑っていく。
Tシャツ越しに撫でるだけなのに、さっきの感覚が鮮明によみがえってくる。
彼の目。
焼きつくような視線。
わかりやすく動揺していた私。
すべてが刺激になって、息が漏れそうになる。
そしてそのまま、私はソファに身を沈め、目を閉じた。
下着ひとつ、つけなかっただけで──
こんなにも女としてのスイッチが入ってしまうなんて、思ってもみなかった。
あの子は、私のことをどう思っただろう。
ただの隣人?
だらしない大人の女?
それとも……欲情の対象として、見ていた?
想像するだけで、身体がまた反応してしまう。
そして私は、自分の中に眠っていた**「見られる快感」**を、初めて知った朝を忘れられなくなっていた。