

「ねえ、彩香さん──まだ帰りたくないでしょ?」
背後からそっと囁かれた声に、私は反射的にうなずいていた。
前回、指だけで深く達してしまったあの夜の続き。
私の中には、ずっとくすぶっていた“もっと知りたい”という感情が残っていた。
それを見抜いたように、梓さんは今日もリビングを少しだけ薄暗くして、
ワインを注いだグラスを手渡してくれる。
「今日は……ちゃんと教えてあげる。
もっと気持ちよくなる方法、女同士の──ね?」
「ベッド、行こっか。
リビングもいいけど、今日はちゃんと、あなたを“抱きたい”」
私は黙って頷いた。
手を引かれて寝室に入ったとき、空気が変わるのがわかった。
カーテンは閉じられ、ベッドにはすでに薄いブランケットが敷かれている。
梓さんは、私の肩にそっと手をかけた。
「まずは、脱がせていい?」
「……うん」
「言葉だけじゃなくて、ちゃんと声にして。
“脱がせてください”って言ってみて?」
「えっ……」
「恥ずかしくないよ。可愛いから。
ちゃんと、自分から“されたい”って伝えるの。
それが、もっと気持ちよくなる第一歩だから」
私は唇を噛み、顔を真っ赤にしながらも言った。
「……脱がせて、ください」
「よくできました」
梓さんが、私のブラウスのボタンを一つずつ外していく。
首筋、鎖骨、胸元へと視線がゆっくり下がっていく。
「やっぱり……綺麗。
こんなに綺麗な人が、ずっと我慢してたなんて、信じられない」
下着の上から、胸を包まれた瞬間──
「感じてるの、ばれてるよ?
ほら……ここ、固くなってる」
「んっ……あっ……」
「ねえ、もっと気持ちよくなりたい?
それとも、私の指、やめてほしい?」
「……やめないで……」
「ちゃんと声で言って?」
「梓さんの……指、もっと……欲しい」
「うん、いい子」
ブラを外され、指先が乳首を軽く転がすように動く。
吸われるたびに、体が勝手に反応してしまう。
「男の人ってさ、こういうとこ雑じゃない?
でも私は、ちゃんと彩香さんの反応を見ながら触るよ。
だって、感じてる顔……可愛すぎて、やめられない」
「下も、脱がせていい?」
「……うん……」
「もう、びしょびしょじゃん。
触らなくても、わかる」
その一言に、身体が熱くなった。
膝を開かれ、下着越しに中心をなぞられる。
「すごい……彩香さんって、ほんとはエッチなんだね。
誰にも触れられないから、気づかなかっただけで」
「ち、が……んっ、ああ……」
「違わないよ。だって、私の指が入った瞬間……声出たもんね?」
彼女の指が、滑り込んでくる。
熱く、柔らかく、私の中を掻き回す。
「ここ?ここが好き?」
「うん……そこ、すごい……っ」
「もうひと指、入れていい?」
「……あっ、んっ、だめ、でも……いい」
「ふふ、可愛い。
拒むふりして、奥まで受け入れてるの、ちゃんと見えてるよ?」
キスをされながら、腰を上下に動かされる。
彼女の膝の上に乗せられて、指を中に入れたまま──
言葉が止まらない。
「ほら、イきそうになったら、ちゃんと教えて」
「そんな、無理……っ、んあ……!」
「イってもいいよ。
私の中で、可愛く乱れて。彩香さんだけにしか見せない顔、見せて?」
「いっ……あっ、だめ、あああ……!」
身体が弾けるように震え、私は完全に達していた。
腕の中でくったりとなる私の髪を撫でながら、
梓さんは囁く。
「ねえ、ちゃんと愛されたこと、あった?」
「……ない、かも」
「じゃあこれからは、私が愛すよ。
心も、身体も、ぜんぶ──」
私たちはブランケットにくるまりながら、指を絡めたまま横になった。
もう恥ずかしさなんてない。
触れ合うことが、自然に思えた。
「……梓さん、私、変わっちゃったかも」
「変わってないよ。本当の自分に、やっと気づいただけ」
その言葉が、深く胸に刺さった。
私はただの“寂しい主婦”じゃない。
ちゃんと“女”として愛される存在だったんだ。