非日常の旅行先だから? 40代男性に話しかけた自分に驚いた午後

非日常の旅行先だから? 40代男性に話しかけた自分に驚いた午後

見知らぬ土地での解放感

その日は一人旅の午後だった。
人気の観光地とは少し離れた、落ち着いた港町を散策していた。

潮の香り、潮騒の音、知らない土地の空気。
日常から切り離されたような感覚が、私を大胆にさせていた。

「旅行先だから、誰も私を知らない」
その安心感が、普段の私なら絶対にしない行動へと背中を押した。


40代の男性に思わず声をかけた理由

ベンチに腰掛けて港を眺めていると、隣にスーツ姿の男性が座った。
40代くらいだろうか。少し疲れた雰囲気だけど、落ち着きのある大人の男性。

普通なら気にせず立ち去るはずだった。
でも、そのときの私は違った。

「お仕事でいらしてるんですか?」

気づけば、自分から声をかけていた。
その瞬間――“どうして私、こんなことを?”と自分に驚いていた。


会話の中で芽生えたドキドキ

男性は少し驚いたように振り返ったが、すぐに柔らかく微笑んだ。
「いや、ちょっと休暇でね」

そこから会話が始まった。
旅先のおすすめスポット、海の景色、偶然立ち寄ったカフェの話。

彼の声は落ち着いていて、言葉の端々から大人の余裕が感じられる。
気づけば、私は学生のように胸を高鳴らせていた。

ほんのささいな会話なのに――
なぜか“女として”見られているような気がしてしまった。


妄想が膨らむ“もしもの展開”

笑い合ったあと、ふと沈黙が訪れる。
潮風が髪を揺らし、そのとき彼の視線が私の胸元に落ちたような気がした。

(え、今…見られた?)

旅先の解放感のせいか、心臓が跳ね上がる。
そして、頭の中には勝手に“もしも”の妄想が膨らんでいった。

――もし、このまま一緒にカフェに入ったら?
――もし、「少し散歩しませんか」と誘われたら?
――もし、夜景の見える場所で肩を抱かれたら?

「だめ、考えすぎ…」
そう分かっていても、想像は止められなかった。


日常に戻っても残る余韻

やがて彼は「そろそろ行くよ」と立ち上がった。
「旅を楽しんでね」
その言葉を残して、軽く会釈して去っていった。

何も起きなかった。
ただ少し話しただけ。

でも、私の心の中には熱が残っていた。
自分から声をかけてしまった驚きと、彼の存在がもたらした妙な高揚感。

「旅行先だから…」と自分に言い訳をしながらも、
あの午後の出来事を思い出すたび、胸のざわめきは再び蘇るのだった。